食品熱操作工学研究室とは?

 太古より私たちは、食材に対して何らかの加熱を行ってきました。加熱は消化を助けるためであったり、食味をよくするためであったり、さらにヒトにとって危害となる因子を除去するためであったりと、大変多くの役割を担っています。偶然に得た「火」―加熱―の恩恵は、経験的に、またヒトの持つ自然観に基づいて、食材にとって適切な処理法として今日まで伝承されてきました。しかしながら、加工済み、調理済みの食品が多量に生産され、流通される現代にあっては、明確な根拠に基づき加熱処理を適切に管理する必要性が生じてきています。加熱不足は、ヒトにとって危害因子となる微生物の増殖を引き起こします。一方で、過度の加熱は、新たな危害物質の発生を生じる可能性もあります。伝熱現象に基づき、素材に生じる様々な変化を予測して、加熱調理を最適に制御するための手段を与えることが、調理工学によるアプローチと考えます。